AI面接って実際どうなの?求職者の本音を調査してみた

AI面接って実際どうなの?求職者の本音を調査してみた

市澤 樹享
AI面接

就職活動や転職活動でよく耳にするようになった「AI面接」
企業側の効率化ばかりが注目されがちですが、実際に面接を受ける求職者はどう感じているのでしょうか?最新の調査データをもとに、求職者の本音に迫ってみました。

まだ少数派だけど、着実に増えているAI面接体験者

まず驚いたのは、すでに 約5人に1人(21.5%)の学生がAI面接を経験している という現実です。

マイナビの調査では、2022年転職者の19.3%がAI面接を「受けたことがある」と回答しており、新しい選考手法として確実に浸透していることがわかります。

認知度はさらに高く、6割以上の求職者がAI面接という言葉を知っているものの、実際の体験者はまだ3割程度。つまり、多くの人が「聞いたことはあるけど、受けたことはない」という状況なんです。

求職者が感じるAI面接のメリット

1. 何より「いつでもどこでも」の自由度が魅力

AI面接最大のメリットは、なんといっても24時間365日いつでも受験可能という点です。従来の面接では企業との日程調整に時間がかかり、特に地方在住者や海外留学生にとっては交通費と移動時間が大きな負担でした。

「自分の体調が良い時に受けられる」「集中できる環境で面接に臨める」という声が多く、特に忙しい転職活動中の社会人からは高く評価されています。

2. 人間関係のプレッシャーから解放

「面接官との相性を気にしなくて良い」「対人ではないので緊張しない」といった心理的メリットも大きいようです。人前で話すのが苦手な人や、初対面の人とのコミュニケーションに不安がある人にとって、AI面接は心理的ハードルを下げてくれる存在になっています。

3. 公平性への期待

「面接官の主観に左右されない」「全員が同じ基準で評価される」という公平性への期待も高く、従来の面接で感じていた「運の要素」が排除されることへの安心感があります。

でも不安や課題も山積み...

一方で、AI面接への不安も深刻です。Synergy Careerの調査では、なんと6割以上がAI面接に不安を感じているという結果が出ています。

最大の不安は「何を基準に評価されているかわからない」

AI面接に対するネガティブなイメージで最も多かったのが 「評価基準が分からない」(94人) でした。従来の面接では、面接官の表情や反応である程度手応えを感じることができましたが、AI面接では「本当に適切に評価されているの?」という不透明感が強いのです。

「人間味がない」という冷たさへの抵抗

2番目に多かった不安が 「人間味がない」(92人) という回答。機械的で冷たい印象への抵抗感が明確に表れています。特に日本の就職活動では企業文化や人間関係を重視する傾向が強いため、この「温かみのなさ」は深刻な課題となっています。

技術的トラブルへの心配

「システムエラーや技術的な問題が発生したらどうしよう」という不安も切実です。面接中に接続が不安定になったり、音声が途切れたりすることで、本来の実力を発揮できないリスクがあります。

日本ならではの難しさ

日本の就職活動には独特の文化があり、AI面接との相性には課題も多いようです。

敬語の適切な使用企業文化への適合性を、AIが正確に評価できるかどうかは疑問視する声が多く聞かれます。また、日本のビジネス文化で重要な 表情、雰囲気、間(ま) などの非言語的要素について、現在のAI技術では「人間より劣る」とされているのが現状です。

「この会社で働きたい」「この人と一緒に働きたい」という感情的なつながりを築くことが重要視される日本の就活において、AI面接では企業側の魅力や熱意が伝わりにくいという根本的な問題もあります。

体験すると印象が変わる?

興味深いのは、実際にAI面接を体験すると、事前の不安が軽減される傾向があることです。リクルートの調査では、AI面接経験者の方が未経験者よりも、多くの評価項目で好意的な反応を示しています。

ただし、これには「もともとAI面接に強い抵抗感がある人は、実施前に選考を辞退してしまう」という選択バイアスの可能性も指摘されています。

今後の展望:歩み寄りが必要

現在、 66.5%の求職者が「人間の面接官がいい」 と回答している状況は、AI面接がまだ受け入れ段階にあることを物語っています。

しかし、体験者の評価向上や若年層の受容性の高さを考えると、適切な情報提供と技術改善により、徐々に受け入れられていく可能性が高いでしょう。

AI面接は確実に普及していく流れにあります。

完全にAIに置き換わるのではなく、人間の温かみとAIの客観性をバランス良く組み合わせた、新しい採用プロセスの構築が期待されています。

筆者プロフィール

市澤 樹享

私は埼玉県北部で地域密着型の採用支援活動を行っております。

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