
今から始めても遅くない!中小企業のためのカジュアル面談導入ガイド
🔰 なぜ今、カジュアル面談なのか
「採用しても3年以内に3人に1人が辞めてしまう」
「優秀な人材を採用したつもりが、期待していたパフォーマンスを発揮してくれない」
「採用にかけた時間とコストが無駄になってしまった」
このような採用の課題を抱える中小企業経営者の皆様に、今注目されている「カジュアル面談」という手法をご紹介します。
大手企業では既に常識となりつつあるこの手法が、なぜ中小企業にこそ必要なのか。その理由と具体的な実装方法について詳しく解説いたします。
❓ カジュアル面談とは何か
カジュアル面談とは、正式な選考プロセスに入る前に行う、比較的気軽で形式張らない面談のことです。
従来の「面接」が企業側が候補者を評価する一方通行のコミュニケーションであるのに対し、カジュアル面談は双方向の情報交換が主な目的となります。
カジュアル面談では選考要素は最小限に抑えられ、合否を決めるのではなくマッチングを確認する場として位置づけられています。
正式な面接よりもフランクで話しやすい環境を作り、業務内容や企業文化、働き方について詳しく話し合うことで、候補者も企業を知る機会として活用できます。
導入企業の急増
カジュアル面談を実施している企業は急速に増えています。
株式会社学情の最新調査によると、キャリア採用において「カジュアル面談」を実施している企業は、2024年6月時点の36.7%から、2025年では52.4%に急増し、過半数を占めるまでになりました。
出典: 日本の人事部ニュース(株式会社学情の調査)「『カジュアル面談』に関する調査」
💬 中小企業にこそ必要な理由
深刻化する採用ミスマッチ
厚生労働省の調査によると、転職入職者が前職を辞めた理由別割合の個人的理由の中で、
「仕事の内容に興味を持てなかった」「職場の人間関係が好ましくなかった」「会社の将来が不安だった」「労働時間、休日等の労働条件が悪かった」
という採用のミスマッチといえる理由だけで、29% に達しています。
つまり、事前のすり合わせ不足によるミスマッチで10人に3人は離職してしまっているということになります。
この割合は年齢が若い方が多い傾向にあり、若い人材が採用ミスマッチにより早期に離職してしまっているといえます。
出典:「令和5年上半期雇用動向調査結果の概要」(厚生労働省)
早期離職による具体的コスト
採用ミスマッチによる早期離職のコストは、想像以上に深刻です。
直接的なコスト損失として、新卒で657万円、中途で774万円という調査結果があります。
これには採用活動費として求人広告や説明会、面接対応にかかる費用、入社後の教育・研修費、在籍期間中の給与・社会保険料、そして離職後の補充採用費などが含まれています。
大企業と比べて、中小企業では一人の採用ミスマッチが与える影響はより深刻です。
少数精鋭の組織では、一人の離職が業務に与える影響が大きく、限られた予算の中で無駄な採用コストは致命的となります。
また、欠員補充までの間、既存社員の負担が増加し、離職率の高さが求職者に与える企業イメージの悪化も避けられません。
出典:ミツカリ「若手人材の早期離職によるコストは600万円以上!損失額の内訳を知ろう」
✒️ 具体的な実施方法
ステップ1:事前準備と体制構築
まず、カジュアル面談の目的を明確にしましょう。
一般的には候補者との相互理解を深め、企業文化や働き方についてリアルな情報を提供することが主要な目的となります。
また、正式応募前の不安や疑問を解消し、優秀な潜在候補者との接点を作る機会としても活用できます。
【担当者の選定と教育】
カジュアル面談の成功は担当者にかかっています。
理想的な担当者は、コミュニケーション能力が高く親しみやすい人柄であることが重要です。
加えて、自社の業務内容や企業文化を深く理解しており、候補者の立場に立って考えられる人材を選びましょう。
質問に対して正直かつ建設的に回答できることも必要な素質です。
ステップ2:実施形式と場所の設定
オンライン面談の場合、地理的制約がなく、コスト削減につながり、候補者も気軽に参加しやすいというメリットがあります。ZoomやGoogle Meet、Microsoft Teamsなどのツールを使用し、30-45分程度の時間設定が適切です。
一方、オフライン面談では職場の雰囲気を直接感じてもらえ、より深いコミュニケーションが可能になります。
社内会議室や近隣のカフェ、コワーキングスペースなどを利用し、45-60分程度の時間を確保しましょう。
【環境整備のポイント】
どちらの形式でも、リラックスできる雰囲気作りが最も重要です。適度な照明と静かな環境を整え、オフラインの場合は飲み物の提供や、会社紹介の資料やパンフレットを準備しておきましょう。
ステップ3:対象者へのアプローチ
対象者は大きく3つのカテゴリーに分けられます。
まず求人サイトで応募を検討している積極的候補者、次に転職潜在層や業界関係者といった潜在的候補者、そして社員紹介や人材紹介会社経由の紹介候補者です。
【アプローチ方法】
求人サイトでの告知では、「いきなり面接は緊張する」「会社の雰囲気を知りたい」という候補者の心理に寄り添った文言で告知しましょう。
履歴書不要、服装自由、オンライン・オフライン選択可能、所要時間30-45分といった参加のハードルを下げる情報を明記することが効果的です。
SNSでの発信においては、会社のホームページ、X、Instagram で定期的に告知し、社員の個人SNSでも拡散協力を依頼します。
#カジュアル面談 #採用情報 などのハッシュタグを活用して認知度を高めましょう。
リファラル採用との連携では、社員に「知り合いで興味がありそうな人がいたら紹介して」と呼びかけてみてください。
ステップ4:面談の進行方法
【面談の流れ(45分の場合)】
アイスブレイク(5分)
自己紹介と当日の流れ説明を行い、緊張をほぐす雑談で場を和ませます。
会社・事業説明(15分)
事業内容と今後の展望、組織体制と企業文化について説明し、働き方や制度、成長機会やキャリアパスについても詳しく伝えましょう。
候補者からの質問タイム(15分)
業務内容の詳細や社内の雰囲気、評価制度、福利厚生など、候補者が気になることを自由に質問してもらいます。
候補者の状況ヒアリング(8分)
現在の状況、転職を考えている理由、希望条件、今後のキャリアビジョンを聞き取ります。
今後の流れ説明(2分)
正式選考の流れや次回連絡のタイミング、追加質問があった場合の連絡方法を案内します。
【効果的な質問例】
候補者を理解するためには、
「現在のお仕事で最もやりがいを感じる瞬間はいつですか?」
「理想的な働き方や職場環境があれば教えてください」
「5年後、どのような自分になっていたいですか?」といった質問が有効です。
相互理解を深める場合、「弊社について事前に調べていただいた内容で、気になった点はありますか?」「今日の話を聞いて、新たに知りたくなったことはありますか?」などの質問で、より深い対話を促しましょう。
ステップ5:フォローアップとナーチャリング
【LINEステップ配信の活用】
カジュアル面談後の継続的なコミュニケーションにLINE公式アカウントを活用しましょう。
面談の最後に「今後の採用情報や会社の近況をお伝えするLINEアカウントがあります。よろしければ登録してみてください」と自然に案内します。
ステップ配信シナリオ例
1日後
お礼メッセージとして「昨日はカジュアル面談にお時間をいただき、ありがとうございました!○○さんとお話しできて、私たちも大変勉強になりました。ご質問やご不明な点がございましたら、いつでもお気軽にメッセージくださいね。」といった内容を送信します。
3日後
補足情報を提供し、「先日お話しした○○の件について、詳しい資料をご用意しました。面談でお伝えしきれなかった部分も含まれていますので、ぜひご覧ください。」として関連資料のリンクや添付ファイルを送ります。
7日後
社員インタビュー記事を紹介し、「弊社で働くメンバーのインタビュー記事を公開しました!実際の働き方や入社理由など、リアルな声を聞いていただけます。」として記事のリンクを共有します。
14日後
会社の近況報告として、「最近の弊社の取り組みをご紹介します!新プロジェクトの立ち上げ、オフィス環境の改善、社員研修の実施など、成長中の会社の様子を感じていただければと思います。」といった内容で企業の活動をアピールします。
30日後
状況確認として、「その後、転職活動の状況はいかがですか?もし弊社にご興味をお持ちでしたら、正式な選考プロセスについてご案内させていただきます。お気軽にご連絡ください!」と今後の意向を確認します。
【その他のフォローアップ方法】
LINEに加えて、メールでの定期連絡も効果的です。
月1回程度の会社近況報告や新しいポジションの募集情報、業界動向に関する情報提供を継続しましょう。
また、社内勉強会のオンライン配信やオフィス見学会、社員との懇親会など、会社イベントへの招待も関係性を深める良い機会となります。
ステップ6:効果測定と改善
【測定すべきKPI】
カジュアル面談実施回数、面談から正式応募への転換率、最終的な入社率、面談参加者の満足度スコアを継続的に追跡しましょう。
【改善サイクルの実装】
月次レビューでは実施状況の振り返りと参加者アンケートの分析を行い、改善点の洗い出しを継続します。
四半期ごとにはプロセス全体の評価を実施し、新しい施策の検討や担当者への追加研修を計画しましょう。
【成功事例の共有】
社内で成功したカジュアル面談の事例を共有し、ノウハウを蓄積していくことが重要です。
面談での具体的な会話内容、候補者が最も関心を示した話題、効果的だった質問や説明方法、改善できた点などを記録し、チーム全体のスキル向上に活用します。
導入コストと運用体制
LINE公式アカウント設定は無料で始めることができます。
送信数に応じて追加で課金が必要になりますが、中小企業の面談後のフォロー用途であれば課金が必要になるほどの送信数に達しないでしょう。
継続コストとしては担当者人件費として月10-20万円程度の継続コストがかかります。
この投資により、採用ミスマッチによる早期離職コスト(平均600-800万円)を大幅に削減できれば、十分にROIの高い施策となります。
📓 まとめ
カジュアル面談とLINEステップ配信の組み合わせは、中小企業の採用力向上において極めて有効な手段です。
優秀な人材の獲得競争は日々激化しています。
カジュアル面談という新しい採用手法で競合他社に先駆けて採用力を強化し、持続的な企業成長の基盤を築きませんか?
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