なぜ優秀な人材を採用できないのか?採用プロセスを「線」で捉える重要性

なぜ優秀な人材を採用できないのか?採用プロセスを「線」で捉える重要性

市澤 樹享
採用

🔰 はじめに

採用の部分最適では限界があります。

「応募は来るのに内定承諾率が低い」「選考は順調なのに早期離職してしまう」

このような悩みの原因は、採用活動を「点」で捉え、各施策を個別に最適化しようとすることにあります。

候補者にとって採用は、企業を知った瞬間から入社後まで続く一連の「体験」です。

点で解決を図ったり、全体をなんとなくとらえるのみでは適切な改善が行えません。

今回ご紹介する「採用プロセス連続性フレームワーク」は、採用活動を6つのステージに分け、連続性を意識しながら最適化を図るためのツールです。

ステージ毎に課題を整理し、採用全体の体験設計にお役立て下さい。

📝 なぜ「連続性」が重要なのか

人材獲得競争が激化し、候補者の選択肢が増えた現在、一つでも違和感があれば簡単に他社へ流れてしまいます。

また、採用コストが高騰する中、場当たり的な対応では投資対効果が悪化するばかりです。

各ステージの課題を可視化し、真のボトルネックを特定することが求められています。

❓ 採用プロセス連続性フレームワークとは

6つのステージで採用を可視化するフレームワークです。
それぞれ以下に分かれます。

ステージ1: 認知・興味喚起ステージ

ターゲット人材に知ってもらい、興味を持ってもらうステージです。

そもそも企業の存在を知らなければ応募は生まれません。
採用サイトやSNS、イベントなどを通じて「この会社で働いてみたい」という興味を醸成する段階です。

施策例:採用サイト・SNSでの情報発信、社員インタビュー、イベント開催
KPI:採用サイトPV数、SNSエンゲージメント率、タレントプール登録数

ステージ2: 応募獲得ステージ

興味を実際の応募行動に変えるステージです。

興味を持った候補者が実際に応募ボタンを押すまでには大きなハードルがあります。
魅力的な求人票、分かりやすい募集要項、簡潔な応募フォームなど、応募への心理的・物理的障壁を下げる段階です。

施策例:求人票の最適化、応募フォーム改善、多様なチャネル活用
KPI:応募数・応募率、チャネル別採用単価、ターゲット含有率

ステージ3: 選考・評価ステージ

相互理解を深め、適切なマッチング判断を行うステージです

企業が候補者を評価するだけでなく、候補者も企業を評価しています。
透明性の高い選考プロセス、迅速なフィードバック、現場社員との対話機会などを通じて、お互いの理解を深める段階です。

施策例:構造化面接、迅速なレスポンス、現場社員との接点創出
KPI:各ステップ通過率、選考リードタイム、候補者満足度

ステージ4: 内定・オファーステージ

魅力的な提案で意思決定を後押しするステージです。

複数内定が当たり前の時代、最終的に自社を選んでもらうための勝負所です。
競争力のある条件提示はもちろん、キャリアビジョンの共有や不安の解消など、候補者の意思決定をサポートする段階です。

施策例:競争力のある条件設定、オファー面談、不安解消サポート
KPI:内定承諾率、辞退理由分析、オファーから承諾までの日数

ステージ5: 入社準備ステージ

内定から入社までの離脱を防ぐステージです。

内定承諾後も油断は禁物。入社までの期間が空くと不安が募り、内定辞退のリスクが高まります。
定期的なコミュニケーション、事前学習の機会提供、チームメンバーとの交流などで、入社への期待感を維持する段階です。

施策例:定期的なコミュニケーション、事前学習機会、チームとの顔合わせ
KPI:内定後辞退率、入社前エンゲージメント、準備完了度

ステージ6: 定着・活躍ステージ

早期戦力化と長期的な定着を実現するステージです。

採用の真の成功は、入社後の活躍にあります。
体系的なオンボーディング、継続的なサポート体制、キャリア開発支援などを通じて、新入社員が組織に馴染み、パフォーマンスを発揮できるよう支援する段階です。

施策例:オンボーディングプログラム、メンター制度、定期的な1on1
KPI:3ヶ月・6ヶ月・1年定着率、パフォーマンス評価、エンゲージメントスコア

🚶 フレームワークを活用した改善の進め方

6つのステージそれぞれで3つのステップを行って改善を進めます。

ステップ1:現状分析でボトルネックを特定

まず各ステージの転換率を可視化します。例えば:

  • 認知→応募:転換率0.5%
  • 応募→書類通過:通過率40%
  • 内定→承諾:承諾率33%

この場合、「ステージ1->2:応募転換率」と「「ステージ3->4:内定承諾率」が明確なボトルネックです。

ステップ2:優先順位をつけて改善計画を立てる

ボトルネックの中から、以下の観点で優先順位を決めます:

  • ビジネスインパクトの大きさ
  • 改善の実現可能性
  • 効果の即効性

ステップ3:PDCAを高速で回す

月次でレビューサイクルを回し、施策の効果を検証。うまくいかなければ素早く方向転換します。

今後別の記事で具体的な施策をお伝えしていきます。

✒️ まとめ

採用プロセス連続性フレームワークは、採用活動を俯瞰的に捉え、真のボトルネックを特定するツールです。
再度お伝えしますが重要なのは、候補者にとっての一連の体験として設計することです。

まずは今すぐできるアクションとして、最も改善幅の大きいステージを1つ選び、集中的に改善していきましょう。
次第に別のステージに目を広げていくことで全体的なボトムアップにつながります。

採用は企業の未来を作る最重要活動です。
このフレームワークを活用することで、データに基づいた採用改善が可能になります。ぜひ自社の採用プロセス見直しの第一歩として、ご活用ください。

筆者プロフィール

市澤 樹享

私は埼玉県北部で地域密着型の採用支援活動を行っております。

あなたの会社の課題を教えて下さい。

一緒に解決していきましょう。

友だち追加